二児の父が安全性に拘る!ジュニアシートを徹底比較!

チャイルドシート

ジュニアシートを選ぶ際に大事なポイントの一つが「安全性」。残念ながらヨーロッパに比べて日本の安全性に対する意識は低く、「警察に捕まるからチャイルドシートをつける」という意見がネットでも身の回りでも多く見受けられます。

数年前まで僕も安全性の基準は国が定めたECE-R44に適合していればかまわない、という考えでしたが、子供と過ごすうちに本当にそれでいいのか?と疑問を持つようになりました。そこで、世界最先端はどういう状態なのか?を調べまくったので、記事にまとめます。

ジュニアシートとは?

チャイルドシートは1歳から6歳ころまでの5点式ハーネスを装着したもの。対してジュニアシートは、4歳から12歳ころまで使うことを想定しており、5点式ハーネスではなくシートベルトを利用した製品です。固定はISOFIXタイプのものと何も固定せずシートベルトのみで取り付けるものがあります。要するに、大人向けに設計されたシートベルトにあわせるためのシートという形です。

ジュニアシートは法的に必要?不要?交通安全先進国では?

日本では道路交通法 第71条の3項で以下のように定められています。

道路交通法第71条の3項

自動車(原動機付き自転車を除く。)の運転者は、当該自動車に六歳未満の幼児を乗せて運転する場合には、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しなければならない。

「6歳未満はチャイルドシートを利用する」と規定しており、主に6歳以上で利用するジュニアシートは法的には不要です。

交通安全先進国ではどうか?

世界各国の規制を調べてみたところ、FIA(国際自動車連盟)が調査した情報をJAFが日本語でまとめていました。世界一安全に厳しいと言われるドイツとスウェーデンを抜粋しますが、その他のヨーロッパ諸国も概ねこれらの基準に準じており大差はありません。

  • ドイツ 
    12歳未満かつ身長150cm以下はジュニアシートの装着義務有り
  • スウェーデン
    身長135cm未満はジュニアシートの装着義務有り
  • 日本
    6歳未満はジュニアシートの装着義務有り

参考:JAFの海外シートベルト着用・チャイルドシート使用義務ページ

6歳児の平均身長は115cm程度で、スウェーデンの135cmというのはだいたい小学4年生くらいで、体格の差は一目瞭然です。

本当に12歳くらいまで必要なのか?一般的にメーカーは、身長140cm以上で十分な効果を発揮することを目標に設計されているそうです。実際、日本自動車工業会(自工会)やJAFから身長150cmまではジュニアシートの利用を推奨しており、技術的には装着が必要と判断しているのにも関わらず、国民の意識が低いことで法改正に踏み切らないという状況です。

日本人の意識が低いと感じるのか?理由はドイツのADACという組織が日本とは比べ物にならないくらい安全性を重視した活動しているからです。ではADACとは何か?を少し見てみましょう。

ドイツのADACはどういう組織か?


ADAC チャイルドシートアセスメントサイト

本記事で最も重要な指標となるADACの安全性評価。いくらADACの安全性評価が大事だと言っても、ADACがどういう組織かわからければ実感がわかないと思うので簡単に説明します。

ADACはドイツのロードサービスを提供する組織で、日本でいうところのJAFとほぼ同じですが、JAFより製品評価等が活発で世界一信頼されている、と言われています。

とくに有名なのはチャイルドシートとバイク用ヘルメットのテスト。いずれも、メーカーから提供された製品ではなく市場にある製品はADACが自費で購入しテストを実施しています。何故自腹なのか?はメーカー提供であればメーカーが独自にカスタマイズしている可能性があること、メーカーに忖度した結果となってしまうことを避けるためと言われており、一般消費者と同じ立ち位置であることで客観性を重要視しています。

安全評価の指標はドイツのADACと日本の自動車事故対策機構(NASVA)

 
それでは具体的に安全性評価を見ながら、どの製品が良いのかを見ていきます。ここで断っておきたいのは、ADACで評価されている製品が必ずしも日本で販売されている製品と完全に一致するとは限らない。ということです。可能性はあまり高くないと思いますが、商品名が同じでも国によってカスタマイズされていたり異なる製品である可能性は0ではありません。なので、日本の独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)のチャイルドシートアセスメントを併用しますが、ジュニアシートは評価対象外となっており、幼児~学童のチャイルドシートを参考にするのみとなります。

ADACの評価内容

衝突試験:

  • 正面衝突: 時速64kmでの正面衝突試験を行い、ダミー人形の損傷状況や、チャイルドシートの構造の耐久性などを評価。
  • 側面衝突: 時速50kmでの側面衝突試験を行い、側面からの衝撃に対する保護性能を評価。

取り扱いやすさ:

  • 取り付けの容易さ: 車への取り付けや取り外し、子供の乗せ降ろしが簡単に行えるか。
  • ベルトの調整: シートベルトの調整が簡単に行えるか。
  • カバーの取り外しと洗濯: カバーの取り外しと洗濯が簡単に行えるか。

人間工学に基づいた設計:

  • 座り心地: 子供が快適に座れるか。視界の広さやパッドの良し悪し等を評価。
  • サポート性: 子供の体をしっかりとサポートしているか。

有害物質:

  • チャイルドシートに使用されている素材に有害物質が含まれていないか。

加工と洗濯のしやすさ:

  • カバーの外しやすさや全体的な仕上がりの良さ。

評価点:
各項目+全体評価は以下の5段階であらわされる。
0.6~1.5:sehr gut(とても良い)
1.6~2.5:gut(良い)
2.6~3.5:befriedigend(満足)
3.6~4.5:ausreichend(十分)
4.6~5.5:mangelhaft(不十分)

自動車事故対策機構の評価内容


詳細は以下を参照いただくとして、重要と思われる項目を抜粋。

衝突試験:

  • 正面衝突: 時速55kmで壁に衝突した際の、チャイルドシートとダミー人形への衝撃を測定。

取り扱いやすさ:

  • 取り付けの容易さ: 車への取り付けや取り外し、子供の乗せ降ろしが簡単に行えるか。
  • ベルトの調整: シートベルトの調整が行えるか。

評価点:
それぞれの項目で採点した後、総合評価を以下の4段階で表示。
・優 ・良 ・可 ・推奨せず

ADACと自動車事故対策機構の評価基準の違い

衝突テストにおいては正面でも速度が違い、側面衝突をNASVAでは実施していません。それ以外の評価項目では、NASVAでは外れないか?間違えないか?等の親目線での評価は充実していますが、ADACはそれに追加して、子供が嫌がらないか?という視点での評価が存在します。子供が嫌がるからチャイルドシートはしない、という話は日本でよく聞く話しで、それはドイツでも同じなのでしょう。子供の快適性を大人が評価することは難しいと思いますが、一定の基準を設けて評価する姿勢はさすがドイツですね。

  ADAC 自動車事故対策機構
正面衝突テスト 64km/h 50km/h
側面衝突テスト 50km/h 未実施
取り扱いのしやすさ 評価対象 評価対象
子供の姿勢、快適性 評価対象 評価対象外
フィッティング 評価対象 評価対象

これだけは外せないジュニアシート選びのポイント!

まずはADACの評価は必須。そして万が一日本の製品と異なる可能性を考えて、自動車事故対策機構で評価されていれば参考にします。

次にISOFIXも必須と考えています。NASVAの試験では同じ製品でもシートベルト固定とISOFIX固定で全く評価が異なり、シートベルト固定では散々な評価になるものもあります。大手メーカーであればシートベルト固定でもこれほど極端に悪くはないのですが、ISOFIXのついてない車もすでにほとんど無く、ISOFIX対応製品はシートベルト固定もOKなので、わざわざシートベルト固定のみ製品を選ぶ必要はありません。

最後はメーカーの信頼性。こればかりは評価が非常に難しいのですが、調べていくと結構わかります。ブランド力というのは信頼性あってその上に成り立つものなので目安になります。

メジャーメーカーの特徴とおすすめ商品はこれ!

ドイツ BritaxRomer(ブリタックスレーマー)


レーマー 国内公式サイト

■沿革
イギリスで1930年頃に自動車用の安全装置等の製造で設立し、1966年からチャイルドシートを開発、販売を開始したブリタックス社。1971年にチャイルドシート専業メーカーとしてドイツで設立されたレーマー社。その後1970年代に合併して誕生したのが現在のブリタックス・レーマー社で、現在は本社をドイツに置いています。R129の制定にかかわったとされており、業界で大きな影響力を持っています。

■特徴
現在は本社をドイツに置いて、安全性を最重視した製品づくりで高いブランド力を誇っており、イギリス王室も愛用していることで有名。シェアもヨーロッパトップ、価格もトップ。キング オブ キング。安心と信頼の世界No1ブランドです。

■我が家も愛用中!
ジュニアシート KIDFIX i-SIZE を長女が利用しています。この製品は腹部のシートベルト位置を適正な場所に収めるようにする、同社オリジナルの機能を搭載しており、2025年5月時点のADACの評価もR129適合ジュニアシートでは安全性トップ、総合評価2位。それでいてスリム。アルファードのエグゼクティブパワーシートでも普通に利用できる万能製品です。

オランダ Maxi-cosi(マキシコシ)


マキシコシ 国内公式サイト

■沿革
1984年にオランダで創業したチャイルドシートメーカーで、レーマーと双璧をなす世界的ブランド。1994年にカナダの育児用品会社DorelJuvenileが買収し、現在に至る。R129の制定にかかわったとされており、業界で大きな影響力を持っています。

■特徴
安全性に特化したレーマーと比べると、機能性や快適性に長けた製品が多いのが特徴。とはいっても、レーマーが世界一の安全性を追求しているのに対する相対的な評価であり、世界的にみるとマキシコシも安全性が高いと有名です。一風変わったデザインの製品が多いのも特徴です。

■我が家も愛用中!
ジュニアシートのRodiFix R i-Sizeを使っていますが、アルファード/ヴェルファイアの売れ筋モデルZグレード(エグゼクティブパワーシート)に最適なシートです。狭いスペースでもベルトを締めやすく、安価で、安全性も高く、とてもバランスの良い製品なので、ぜひ検討してみてください!

イギリス Joie(ジョイー)


正規代理店KATOJI 公式サイト

■沿革
1983年、台湾で設立されたベビー用品会社、WONDERLAND GROUP(明門集團)のブランドの1つ。アメリカのベビーブランドGRACO社にOEM提供を開始。2007年にオランダでNunaブランド、2011年にイギリスでJoieブランドを立ち上げて、自社製品の販売に注力しはじめます。
自転車のGIANTや、PCのAsusや鴻海精密工業、半導体のTMSCと同じく、製造の請負から始まって技術力をつけてOEM供給をし、最後には自社ブランドを育てる台湾らしい成長をした企業です。日本では、KATOJIが正規代理店となって展開しています。

■特徴
ハイブランド品と遜色のない使い勝手、機能、安全性を備えながら、値段は半値程度という超ハイコスパブランド。品質や質感は少し劣るところがありますが、値段を考えれば十分です。イギリスを前面に押し出したり、ヨーロッパらしいデザインで野暮ったさは無く、ブランドイメージも良好。ただ、たまにやらかす製品があるのは注意が必要です。

■たまにやらかす製品って?
ADACによる安全性テストでは非常に高得点となっており、世界一の安全性と名高いブリタックスレーマーと比較しても遜色ない評価です。
ところが、日本で販売しているR129規格のエレベートという1歳~7歳までの幼児用チャイルドシートは、日本の独立行政法人による2024年のチャイルドシートアセスメントで推奨せずの最低評価となっています。ADACでは同等製品がないようなので自動車事故対策機構の評価結果しかありませんが、ここまで極端な低評価は珍しいでしょう。大手では”推奨せず”の評価を受けている製品は存在しないので、相当に悪いものだと思います。

■我が家はJoie製品をたくさん使っています!
Joieのバギータイプベビーカーのライトトラックスエア、ベビーシートのJuvaとisofixベース、ジュニアシートのi-traverを愛用しています。一番利用期間が長いのは2018年に購入したライトトラックスエアで、子供二人、約7年使い倒しましたが、フレームも布部分も耐久性が非常に高くてまだまだ使えるので、先日義理の妹に譲りました。あと5年くらいは十分使えそうです!

ドイツ CYBEX(サイベックス)


CYBEX 国内公式サイト

■沿革
2005年ドイツで創業し、2009年にCYBEXブランドを立ち上げてチャイルドシートの販売を開始。しばらくはヨーロッパ内でのみの販売でしたが、2014年に中国の育児用品大手「Goodbaby International Holdings Limited(グッドベビー)に買収されてグローバルでの販売を強化し、日本でも取り扱いが開始されました。後発ながら、グッドベビー社の販売力で急成長しています。

■特徴
有名デザイナーやファッションブランドとのコラボが多く、ファッション性の高い中~高級ブランド。安全性についてもADACでの評価は非常に高く、欠点らしい欠点はありません。首から顎の周辺を固定して首の位置を正しくする構造になっており、全面的にこの機能を推しています。

■我が家では使ってないけど
ADACの評価において、Solution G i-FixはR129ジュニアシート全製品の中で最高評価を得ています。他の製品も平均的に評価が高く全製品がGood評価。レーマーやマキシコシをも上回っており、大手の中でトップです。中国資本というのが少し不安はありますが、実際の企業活動はドイツ国内で行われているので特に問題は無いと思います。
2020年頃からコンビ等の国内メーカーを上回るほど拡販に力を入れているので、今後国内でのシェアは急上昇するのではないかと予想しています。

 

他、Nuna等の主要メーカーと、製品情報は随時追記していきます。

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